鳳凰三山   タカネビランジとホウオウシャジン
2010年8月21日・22日
何の予定もない今週末・・・お天気は良さそうだし、下界は猛暑だし・・・
やっぱ高山に避暑に行くのが一番じゃん!と数日前に思い立ちました。
今シ−ズンまだ行っていない南アルプスなら近いし、1泊2日でじゅうぶん満喫できるでしょ(^_-)-☆
この時期なら鳳凰山の花がいいか
なって、ネットで調べると、タカネビランジ
はまだ咲いているようで、ホウオウシャジン
はちょうど満開のころのようです。

基本テント泊なので、山小屋の予約も
いらず、「思い立ったら登山口」 で
じゅうぶん対応できてしまいます。

前回はドンドコ沢から登って中道を
下ったのですが、最初の炎天下の
河原歩きと、ギャップの激しい沢沿いの
道は非常に疲れた記憶があり、
今回は夜叉神から入ることにしました。
9:00 夜叉神 登山口 
自宅から150km、3時間かけて夜叉神まで入りました。ここから登ります。 
夜叉神峠までの登山道
夜叉神峠までは1時間ちょっと、最初はジグザグに登っていきます。
雑木やカラマツ林に囲まれ、新緑や紅葉の頃は夜叉神峠までのハイキングだけでも楽しめる いい雰囲気です。
10:10 夜叉神峠 サルオガセ
1時間ちょっとで夜叉神峠に着きました。小屋からはラジオの音がかすかに聞こえるけど誰も居なくてとっても静かです。
ここは白根三山の展望台ですが、あいにく雲の中・・・。 明日を期待しましょう。 
たしか・・・ヤナギランがあったような気がするけど、ほんの数本咲いていただけでした。
夜叉神峠の先に立派なサルオガセがありました。おとなりの櫛形山でよく見かける光景です。
11:00  霧に包まれて幽玄な雰囲気 11:45 杖立峠
夜叉神峠からは傾斜が落ちて、巨木の森の中を歩いていきます。
このル−トは、傾斜がなだらかな標高差1000mほどの尾根道を、だらだらと8kmほど登っていきます。
距離は長いけど、ずっと歩きやすい道で、所々に地元の中学校のここの自然を愛する看板がかかっていました。

深い樹林の中に杖立峠がありました。
13:00 山火事跡周辺 13:30 苺平
山火事跡のあたりからダケカンバの木などもあったりして少し開けた感じになりました。
リンドウやバイケイソウの花を見られたのはこのあたりでした。

降りてこられたお二人の女性と立ち話・・・。
朝、鳳凰三山を往復して、(白鳳峠から広河原に下るのは不安)同じル−トで下山しているとのこと。
鳳凰山の花も聞いたら、タカネビランジはピ−クは過ぎたけどまだまだたくさん見られたとのことで、明日が楽しみになってきました。
ホウオウシャジンはちょうど見ごろで、数は少ないけれど観音岳の周辺にあり、進行方向の左側の岩場にあるよと教えてくれました。

再びシラビソなど樹林に覆われた苺平に着きました。  苺平では、20名弱の団体さんが休憩していたので、
そのまま通過しました。   ここから下り調子で30分ほど歩くと南御室小屋に着きました。
14:00 南御室小屋 小屋周辺のお花畑  ヤナギランとトリカブト
南御室小屋から1時間半登ったところにある薬師岳小屋のほうが、展望もいいし翌日の行動もラクだけど、
幕営地はないので、本日の行動はここで終了です。

北アルプスの小屋に比べると随分??ですが、豊富な水が使えるのは有難い。幕営料500円を払って砂地にテントを張りました。
小屋で明日の下山ル−トの白鳳峠から降りる道を聞いたら、今年も登山道は整備済みでハシゴも付いているから大丈夫とのこと。
どのくらい傾斜がキツイかは実際行ってみないとわからないけど、計画通りに歩いてみようと決意したのでした!。
小屋の前のテ−ブル席は缶ビ−ル片手に多くの登山者が寛いでいます。
テント場との間にたくさんあるベンチにも、
大勢の登山者が寛いでいます。

天気もいいので、私もここのベンチで
夕食タイムにしました。
今回は缶ビ−ルも持参したので、ここでは
幕営料500円だけの出費です。
ディナ−メニュ−は私の定番、ビ−ルに
よく合うソ−セ−ジとパスタです。

お隣のベンチには先ほどの苺平の団体
さんで大阪から来ているとのことでした。

今日見た花の名前をびっしりメモした
手帳もあって、興味深い話題が続きます。
あっという間に3本の缶ビ−ルが
カラになってしまいました。
5時の食事で小屋に戻ってしまったので、ひとり食後のコ−ヒ−を楽しんでいると、
南アルプスレンジャ−の緑の腕章つけ、山から下りてきたお二人が隣のベンチで夕食の準備を始めました。
再び団欒(二次会?)が始まりました。
富士吉田のM山岳会の方々で、山梨県から委託され、割り当てで山に登り、高山植物の植生調査をしているとのことでした。
花の話や、山梨岳人&静岡岳人から見た地元南アルプスへの想い。
山梨県の百名山の話など、バ−ボンをご馳走になりながら、日が落ちるまで盛り上がりました。 楽しい時間、ありがとうございました。

8月22日(日)

5:45 砂払岳
 朝3時半ごろ 目が覚めて、外に出たら夜空には無数の星がキラキラ輝いていました。今日は好天が期待できそう!。
早めに準備をして、薄明るくなってきた5時前には出発しました。
5:55
まずは樹林帯を登るのですが、最初は急登です。樹林の中から日の出を見て、なおも樹林の中を歩くこと1時間。
前方が開けてくるとここが砂払岳です。花崗岩でできた鳳凰山はこの山容が美しい。
ちらほらとタカネビランジが咲き出しました。ピ−クは少し過ぎたけど、大型の株もあって見応え充分です。
タカネビランジ
6:00 薬師岳小屋 ナナカマド
砂払岳から少し下って、ハイマツやダケカンバの木の中に薬師岳小屋がありました。
その先からは再び森林限界を抜けて稜線歩きとなり、白砂と花崗岩が美しい鳳凰三山へと連なっていきます。
6:10 薬師岳(標高2780m)
薬師岳からは正面に白根三山が見えて絶景です。振り返ると雲海の上に富士山が美しいすそ野を広げていました。
朝7時前の時間帯は、風は寒いくらいに涼しく、下界の猛暑はどこへやら!。 
山はもう初秋 ・・・  山では真っ先に季節の移り変わりを感じます。
薬師岳から観音岳に向かう トウヤクリンドウ
薬師岳から観音岳へは大展望の広がる稜線をひと登りです。タカネビランジはあっちこっちにたくさん咲いています。
ホウオウシャジンを探すために足元や岩場に目を配り、北岳や八ヶ岳の山々も何度も眺め、見るものが多すぎて忙しい!。
砂地が多く、高山植物の種類は多くありませんが、トウヤクリンドウやミミナグサなどが多少咲いていました。
でも・・・なかなか見つからないホウオウシャジンに、自分の探し方が下手なのかな?っと思っていた矢先!
    やっと見つけました (*^。^*)
6:50 白根三山 と ホウオウシャジン 6:45  最初に見つけた
ホウオウシャジンは鳳凰山にしかない固有種です。葉っぱが細いのが特徴で、ひと目でそれとわかりました。
観音岳の少し手前から見ることができたわけです。それも進行方向左側(北岳側)の岩場に咲いていました。
タカネビランジ
タカネビランジは 相変わらず あっちこっちに咲いています。
ホウオウシャジン
ホウオウシャジンは数は多くないものの、観音岳の周辺のみで見ることができました。
青色っぽいものが主ですが、紫色っぽいものもありました。
7:05 観音岳(2840m)
観音岳は鳳凰山の中で一番高いピ−クです。
360度の大展望が広がりました。雲海も美しく、雲海の中から富士山や八ヶ岳がぽっかり浮いていました。
地蔵岳の向こうに富士山
             甲斐駒ケ岳 (正面 奥)      (手前 左から高嶺・赤抜沢ノ頭・地蔵岳)
甲斐駒ケ岳や仙丈ヶ岳も大きく見えています。
私たちはこれらを(かいこま・せんじょう)と言いますが、山梨岳人は(こません)と呼ぶのだそうです。
昨日の南御室での会話の中で発覚・・・初めて耳にした言葉でした!。
観音岳から一旦下ります。

花崗岩の稜線歩きはまだまだ続き、
いたるところでタカネビランジが
見られます。

こちら側にもホウオウシャジンが
ありました。


鳳凰山のタカネビランジは白色は無く、
ほとんどが薄ピンク色です。

中には濃いピンク色のものがあり、
ひときわ目立ちます。


このお花、南アルプスの他の山域にも
ありますが、これほどまでに
群生しているのは
鳳凰山だけだと思います。





8:30 北岳バットレスとタカネビランジ
8:20 
赤抜沢ノ頭まで登り返しました。

ここに荷物を置いて、地蔵岳方面に向かいました。




その途中にあるのが賽の河原です。
赤抜沢ノ頭(標高2750m)
賽の河原
8:30 地蔵岳(標高2764m) オベリスク
8:55 赤抜沢ノ頭 9:00 ツリガネニンジン
赤抜沢ノ頭からは前方に見える樹林に覆われた高嶺に向かいます。
赤抜沢ノ頭付近の岩場にも紫色の花があり、近くでよく見ると、これは山でよく見かけるフツ−のシャジン(ツリガネニンジン)でした。
この先にあったのも これだったので、ホウオウシャジンは観音岳周辺にだけあったということになります。
9:40 高嶺(標高2779m) 10:35 白鳳峠(標高2450m)
高嶺までの道はヤセ尾根で、急なアップダウンがありました。赤抜沢ノ頭から先のこちら側は登山者がぐっと減ります。
時々すれ違った人達は早月尾根から来た1組と、広河原からが3組でした。

高嶺が最後のピ−クになります。ここでゆっくり休憩しました。正面には北岳の大樺沢とバットレスが見えました。
(こません)は、少しずつ雲に隠れつつありました。

高嶺から白鳳峠へはいきなり急降下でした。岩場を下ったり、ゴ−ロを下ったりと50分ほど。樹林に入るとすぐに白鳳峠でした。
このまま稜線を進めば(早川尾根)アサヨ峰を経由して甲斐駒ケ岳につながっています。
早川尾根は一度歩いてみたい大展望の尾根ですが、私はここで向きを変え、稜線と離れて広河原に降りていきました。
10:40 白鳳峠からしばらくはゴ−ロの中を下る
周りはハイマツ帯がありますが、道はずっと下まで広がっている石ころだらけの中についていました。
しばらくゴ−ロの中を下り、樹林に入ったかと思うとまたゴ−ロ歩きになり、
それを繰り返して周りの木丈も高くなった頃やっと樹林帯に入りました。
ここまでで、白鳳峠から30分。 登山道は急な傾斜もなく、歩きにくくもありませんでした。
11:05 樹林帯の最初はシラビソ林 11:25 中盤でハシゴを下る
厳しい残暑の日差しからやっと開放され、日陰のシラビソ林の中を軽快に降りていきます。
このあたりも ごく普通の登山道で、順調に高度を落としていきました。

道が左へ左へとトラバ−ス気味に続いていて、やがて荒れた沢地形の場所を通過しました。
この後シゴが数回現れました。傾斜が急だからハシゴがあるわけで、昨日小屋で聞いたように、しっかりと整備はされていました。

ハシゴを慎重に下っていきました。これから先はずっと急降下でした。木の根っこが張り出したり荒れた道です。
この頃から水の音が聞こえるようになったけど、まだ川は見えません。
11:45 カニコウモリ 12:25 白鳳峠口(広河原林道)
高嶺で休憩しただけで、その後休んでいないからそろそろ足が疲れ休みたいなぁと、思いつつ、
休憩ポイントもなく、タイミングも外し、そのままずっと下り続けてしまいました。
やがて野呂川が見えてきましたが、傾斜は緩まることもなく ずっと急降下です。

途中にはトリカブトやカニコウモリやレンゲショウマなども咲いていましたが、あまり楽しい道ではありません。
この道から登ると鳳凰三山を日帰りできるようですが、この道を登るのもかなり大変だと思いました。
結局ノンストップで車道まで降りてしまいました。「やれやれ・・・疲れたョ(ToT)/~~~」
北沢峠に向かうバスを数台見送ってから、車道を広河原のバス停まで歩きました。
13:45 芦安温泉 岩園館 大露天風呂
バスはこの時間は1〜2時間に1便の割合です。
その間は乗り合いタクシ−があって、人数が集まればバス代の料金で乗るができるので、
ロスタイムなく夜叉神(1000円)まで戻ることができました。(広河原から夜叉神までは40分ほど)

帰り道、芦安温泉で温泉に入りました。私が好きなのは旅館の温泉で、少し高いですが(1000円)大きな露天風呂があり、
ぬるめの温泉に、贅沢にも一人ゆっくりと浸ることができました。
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