山登りを始めた15年ほど前から、安倍川流域の山々はよく登る機会がありました。自宅から案外近い安倍川流域にはお手ごろな 登山コ−スがたくさんあります。竜爪山、真富士山、青笹、十枚山、八鉱嶺、山伏など、色々な一般ル−トで歩いています。 でもいずれも安倍川左岸の山で、安倍川右岸の山へは縁がありませんでした。見月山は安倍川右岸にあります。標高は1000m ちょっとですが、一般ル−トではないのであまり歩かれていないようです。 そして、遭難事故の多い山でもあります。 |
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安倍川左岸の山には、たびたび一人でサクっと登りに来ますが、ここ見月山には絶対自分一人では登ることのない山なのです。 今回は、『テ−マ:安倍奥の山々の中でも遭難の多い山で、遭難しない為のハイキングセミナ−』の一環として、参加しました。 静岡駅北口に集合し、7時3分発の梅ヶ島温泉行きの路線バスに乗り込みました。 やがて安倍川に沿ってバスは進み、赤い吊り橋が見えると下山口の相渕バス停を 通過しました。安倍川をはさんて左手前方には見月山のなだらかな尾根がずっと続いています。こんな山で遭難・・・?って感じですが、安倍川側は切り立った崖地形でこちら側に降りてしまったらヤバいです。 見月茶屋からも登れるようですが、今ではあまり歩かれてないとのこと。 満員のバスに揺られること1時間で、中平のバス停に着きました。ここで乗客の大半が下車。運賃は1000円でした。 バス路線から民家に続く車道に上がり、ここで開講式のあと3班に分かれて登山開始です。 |
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8:25 中平バス停上の車道 | ||
1班の先頭は今日のリ−ダ−H隊長で 、某クラブの支部長でもあります。 安倍川流域の山岳に詳しく、人の歩かない隠れたル−トもよく踏破し、今回もそんなバリエ−ションル−トでの山登りです。 それとバス停に降りたらそこが登山口というのもかなり新鮮・・・。 ふだんなら車でもっと上部の登山口に向かってしまいますからね。 隠れたル−トのため、どこにも登山口の標識はありません。まずは2万5千の地図で自分の居る位置を確認してから隊長の後について民家のある車道を登っていきました。 |
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民家のある車道を登る | ||
やがて民家もなくなり、林道が二股に分かれています。その先で歩みを止め、左側に黄色い小さな看板が送電線の整備道の 標識が・・。 これを指差し、ここから登るとのこと。ここにも登山口の標識はありません。8:55 いきなり急な山道になってしまいました。ジクザクのずっと険しい登りが続き、アキレス腱が痛くなりそうなくらいです。 その辺にあった木の枝を拾って杖代わりに歩きましたが、みなさんはとっても健脚でびっくりです。 |
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送電線の切り開き、結構な急登 | 安倍川があんなに下になりました | バックは安倍川左岸の青笹方面 |
樹林の中の登りですが、所々開けていて、頭上には送電線が見えます。上部には鉄塔もあり、この道はそれらの整備道なので、 道はしっかりと付いていました。黄金色に輝くカヤトの広がる台地で一休み、バックには安部川沿いの山々が見渡せました。 い〜い天気です。その後も送電線の下を歩き、鉄塔のある所まで登ってきました。 ここからは送電線と離れて見月山の尾根道になりました。10:20 再び樹林の中の道になり展望はありませんが、傾斜は緩やかになり、やれやれ・・・ 道は踏み跡があり、古ぼけた赤テ−プもたま〜にあります。左側の中河内川側にはまだ新しいシカ除けネットがあることから、 人が入っていることがわかります。道端のスズタケも道なりに刈ってあって、最近整備されているようでした。 |
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送電鉄塔から離れて尾根道を歩くこと 1時間弱で、見月山に着きました。 見月山というロマンティックな山名にもかかわらず杉や檜などの植林に囲まれ展望はありません。 もちろんお月見できそうな山でもありません。 展望が無いし、道も不明瞭・・・だから静かな山なんですね。 今日のような機会が無ければ来れないわけだから、これはこれで貴重な体験ですね。 この辺りには古ぼけた見月茶屋への道標がありました。 見月山以南へは、道が整備されていないとの市岳連の小さな看板があり、この周辺までは整備されていたことがわかりました。 |
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11:15 見月山は樹林に囲まれています。 山頂の標識も隠れてしまいましたので・・・ |
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後日、中平から鉄塔尾根〜見月山までの登山道の整備は、11月下旬にこまくさの会の方々のボランティアで行われたことを知りました。ササ狩りや、チェ−ンソ−で倒木による道塞ぎの整備を行ってくれていたようです。お疲れさまでした。 | ||
見月山は展望もなく、日陰なので、昼食はもう少し進んだところで摂ることにしました。 見月山から南側は・・・なるほど、さっきよりも道が悪くなりました。 こちら側はあまり歩かれていないようです。 スズタケも伸び放題で、前の人を見失わないように注意が必要な場面もありました。 柿島への道(廃道)を右に見送ると測量小屋(廃屋)がありました。昔はこの小屋へ柿島から登ってきたようです。 広い尾根状の道が続きます。はっきりとした道がないので、どこでも歩けそうです。 ただ台風の影響なのか、倒木や小枝がいっぱい落ちているので、 時々小枝に足を引っ掛けて、その都度、前に転びそうになって、おっとっと ($・・)/~~~ 気を付けて歩いているつものなのに、何度も何度も おっとっと・・・(-_-;)! |
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測量小屋(廃屋) | ||
ちょっと明るくなってやっと自然林の広場に出ました。ここでランチタイムです。 見月山ハイキングセミナ−は、会員・ゲスト合わせて今回が最多の36名の大所帯。 会員の中にはさまざまな変な人 (失礼!)がいらしゃいます。 最初の変な人は写真右端のZT氏です。→ なんとZT氏は富士山に1212回も登頂した鉄人です。 私が最近登った金時山では山頂の2つの小屋に何000回登頂という色紙もいっぱいあり、四季を通して毎日通ってくるハイカ−も多くて、それはそれで納得。 でも富士山を1212回ってどうやったら登れるの???って『何で何で・・』でしょ。 |
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12:10 ランチタイムでの ひとコマ | ||
冬場は登れないわけだから、どうやって回数の稼ぐのかというと、一日に2回も登ったり!。 その2回目の登りかたも尋常じゃないんだけどネ。 これだけでもちょっと考えられない、フツ−じゃないと思うけど、田子ノ浦から不眠不休で村山古道を歩き富士山へ! (普通なら3日〜4日かかります)。親不知から日本の屋根・北アルプス〜南アルプスと繋いで富士山までと!。 最近では大阪・天保山から東海道を遡って富士山を目指したりと、すご〜い・すご〜いお方なのです。 強靭な体力の持ち主と思いきや、そんな風には見えなくて・・・ ZT氏曰く、体力ではなくて気力で登るんだそうです。最後までやり通す、その精神力の強さがこの偉業を成し遂げたんですね。 今日のランチタイムでは、そんな富士登山でのエピソ−ド話を聞くことができました。 ZT氏はこの1週間後の晩餐会で、名誉ある賞を受賞されました。おめでとうございます。これからも元気に記録更新して下さいね。 |
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標高934m 中河内川側はススキ原が広がる 15:30 同じ方向に南アルプス(聖岳方面)が見える | ||
ゆっくりと時間をかけた昼食の後は、稜線上をまだまだ歩きます。 広い尾根では、舟窪地形の場所もありヌタ場もありました。 鹿のヌタ場とはよく言いますが、 この荒らしようはイノシシだと、H隊長。 H隊長は草木にも詳しく、道すがら教えてくれますが、油断しているとさっさと出発の号令をかけるので、付いていくのに必死な場面も!(笑) 中河内川側にススキ原が広がる展望からは南アルプスも見えました。 |
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13:45 大篠山(標高904m) | 植林のだらだらとした広い尾根を歩く | |
広い尾根ではますます道らしい道もなく、どこを歩いてもいい感じです。少し離れて2班は私たちとは違う方向から降りてきました。トップのO隊員は常に地形図を手に持って歩いています。迷いやすい場所では読図とル−トファインディングが大切ですね。さすがです。 いくつものピ−クを過ぎて、大篠山が最後のピ−クです。後は下るのみ。 最初はなだらかでしたが、どんどん傾斜が増してきました。若干尾根が左に曲がってきているので忠実に主尾根を降りていきました。ずいぶん下ると今度は右に巻いて下る地点がありましたが、ここには見落としそうな黄色の送電鉄塔の標識があったのみでした。 |
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15:00 茶畑の下りが一番の急傾斜 | 吊り橋が見える | |
まだまだ下るとやっと茶畑や安倍川が見えてきました。人の生活の場である茶畑まで下り、ちょっと安堵していると、この茶畑の脇の下りが今日一番の急傾斜でした($・・)/~~~。 民家が見えると茶畑の縁を進み白髭神社の鳥居をくぐって車道に降り立ちました。 ここからは車道を歩き吊り橋へ向かいます。 |
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吊り橋は10名づつ渡りました。思ったよりも長く、中間地点ではけっこう揺れました。 渡った先がしずてつジャストラインの敷地でした。 遭難の多い山で、みんな無事下山できました。 それにしてもみなさん健脚でした。 お疲れさまで〜す。 ここで閉講の挨拶のあと、相渕バス停から静岡行きのバスに乗りました。(790円) |
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15:30 吊り橋を渡る | 15:45 無事下山しました | |
どこに行くにもデジカメを持っていくのに、今回なぜか忘れてしまいました (-_-;)。 そんなわけで、これらの写真は館長のS氏から借用させていただきました。ありがとうございます。 S氏も変わった趣味を(いきなり失礼!)をお持ちの方です。山道具を見るとワクワクする(再び失礼!)というのは、オバサンの私にはよくわかりません。しかし、彼のピッケルのコレクションたるや、すごいものらしいです。→「小さな山道具館」 えつ?S館長は怖そ〜な お方ではありませんよ〜・・・実はかなり○ー○ーなんです(笑) |
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本日のおさらい (^。^)y-.。o○ | ||
@ 中平バス停下車 A 民家のある車道を登り、 二股に分かれてから先の送電線 の整備道から登山道になる。 B 最初は急登の連続、やがて鉄塔の送 電線に沿って道が付けられている。 C ススキ原の展望のいい所からは 安倍川と左岸の山々が見渡せる D 送電線から離れて、杉林の中の 尾根歩きになる。 E 傾斜は緩み歩き易い道なる。 踏み跡はあるが、標識は無し、 古い赤テ−プが所々ある。 F 見月山は杉林に囲まれ展望無し。 G ここから見月茶屋に下る標識はあるが あまり歩かれていない感じ。 H ここから南方向へは整備されて いない旨の標識有り。 I 見月山を過ぎると、笹に覆われた道 になり踏み跡も乏しくなる。 J 測量小屋(廃屋)へは昔柿島から 登る道があったが今は廃道のよう。 K 日当たりのいい場所でランチタイム L 広い稜線ではル−トファインディング が難しくなる。安倍川側に進んで しまうと崖になって行動不能となるので 慎重に道を選ぶ、たま〜に古ぼけた 赤テ−プ有り。 M 大篠山も展望無し。この後からは下り となるが傾斜も強く難路が続く。 N 茶畑の下りが一番の急傾斜。 O 茶畑から白髭神社へ下山。 P 赤いワイヤ−の吊橋を渡って無事 下山。相渕バス停から静岡駅行き のバスに乗る。 Q おまけ・・・ 下山後はもちろん慰労会( ^)o(^ ) |
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