富士山スカイラインが開通した4月29・30日に連続登頂した富士山の達人さんから、 『富士山に登りませんか?』と声をかけていただきました (以下富士達さんと呼びますネ) 「・・・・・(@_@;)!」 あの真っ白な雪の山に 自分が登っている姿をイメ−ジしたら、恐怖でドキドキしてしまいました。 一日中考えて・・・というのは、花も・山歩き・も 好きだけど、 たまには真剣に・・・! 本気で山登りがしたいという気持ちもあるんですよね。 5月3日の大雨の日に連絡したら、では5日か6日にどう?。 とんとん拍子で話がまとまり、(6日は休み明けだから前日の5日)に登ることになりました。 |
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久しぶりに自分のピッケルを手にとり、「ちょっと錆びちゃったけど、大丈夫!」 本気の富士山に挑戦です。 富士山へは登山シ−ズンにしか登ったことがなく、GWの富士山は未知の世界。 この緊張感は最近の山登りでは久しぶりです。 富士達さんは沼津の方なので、待ち合わせは沼津駅。 私は5時半頃の電車に乗りました。近場で日帰りの山が、 な・な・なんと富士山 になってしまったけど、始発電車で自宅を出発するとは、 こんなにのんびりでもいいのかしらね〜。 富士駅が近づくと、富士山が裾野を広げて正面に大きく見えてきます。 いつもはその雄大な姿に見とれてしまうのですが、 今朝はその富士山が怖くて直視できません^^;。 「あんなに高いじゃん・・・。あんなに雪あるじゃん・・・。 あのてっぺんに私・・・ホント〜に登ろうとしてんの???」 |
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御殿場市街地を走る | ||
沼津駅ではすでに日焼けした富士達さんがスタンバイ。 車に乗って富士山スカイラインで富士宮口5合目(標高2380m)に向かいました。 |
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8:30 富士山スカイライン表富士宮 新五合目レストハウスから見た富士山 8:50 いよいよ出発! | ||
GW中の好天に恵まれ、上の駐車場は混んでいます。登山者・山スキ−ヤ−・ボ−ダ−はもとより、 朝の時間帯なのに観光客が多かったのにはビックリでした。 |
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緊張感でいっぱいですが、ここまで来ちゃったんだから・・・と覚悟を決めて、本気の富士山に挑戦です!。 普段の登山靴にスパッツを付けて、12本爪のアイゼンを装着し、ピッケルを肩に通し、準備OK!。 東側のカ−ブの斜面から出発しました。 真っ青な空。周辺は雪が溶けて砂礫が見えている箇所もあるけど、雪の中を登っていきます。 出発は9時とやや遅めですが、7時30分に下のゲ−トが開くために、これから登ろうという人なども多いです。 周りの夏道は雪に埋まっているので、思い思いに斜面を登っていく姿が見られます。 |
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9:55 振り返るとまだ駐車場が見えます 11:10 雪だけの世界 | ||
スキ−は担いだり、シ−ルを着けて登っていたり、ボ−ダ−はつぼ足だったり、スノ−シュ−を履いたりもしています。 山スキ−・スノボ−は頂上を目指すわけでもないでしょうから、それぞれのスタイルは自由のようです。 富士達さんの富士登山シ−ズンは4月終わりからお正月までで、今年も200登が目標とのこと。 今日が 1216回目だから、まさに世界一の富士山クライマ−ということになるのでしょうか。 |
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富士達さんはスロ−ペ−スで登っていきます。上を見ると遥か前方に8合目(標高3220m)の小屋が見えます。 簡単に登れそうな気がするのに、とっても時間がかかるというのは夏の富士山を登るのと一緒ですよね。 雪の斜面をほぼ直登で高度を上げていきます。 |
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下を見下ろす余裕もなく、上を見上げることも少なく、ただただ、目の前の斜面を黙々と登るのみです。 最大の不安材料だった傾斜と雪質ですが、5月3日の大雨で雪は4月29日よりも雪が減ってきているとのこと。 雪質は重たいけどほどよくしまっていて、アイゼンがよく利きます。 水分が含んでいる雪だったので、靴が多少濡れたけど、高度が上がるにしたがって、靴の濡れは感じなくなりました。 ゆっくりとしたペ−スで登り続けて、7合目(標高3030m)の小屋の周りで休憩をとりました。 小屋周辺だけは平らなので、ザックもおろして小休止。風が冷たく感じたので、フリ−スを着て、手袋も厚めなものに交換しました。 休んだのはここだけで、後はひたすらスロ−ペ−スで歩き続けます。 |
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12:07 八合目の小屋までもう少し 12:15 八合目の小屋の最初の鳥居 | ||
今日は日焼け対策で スカ−フと帽子で顔を覆っているため、視界も狭く、見えるものは雪の斜面だけ。 180度振り向かないと下界の景色を見れないので、ただひたすら登ることのみに専念です。 8合目の小屋が少しづつ近づいて、最初の鳥居が見えました。 標高は3200m。 やっと8合目の小屋と高さまで登ってきました。ここらで半分は歩いたかな〜? |
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今日は5月5日です。 前日も富士達さんは今シ−ズン3回目 の登頂をしましたが、そのまた前日の 5月3日は大雨が降った日でした。 「雨なら登らないでしょ?」って聞いたら、 『天気が悪い日は登らないよ。 ゆきしろが怖いから』と。 この時期の雪崩は、水を含んだ雪が 砂礫と一緒に流れる土石流が怖いとのこと。 五合目付近では雪崩や落石の被害も ニュ−スも聞きますからね。 特に須走り 登山道は砂がえぐれてしまうようです。 |
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12:30 無心で登る | ||
と、足を止めてある方向を見ています。何かな?っと目をやると、野球ボ−ルほどの石が、音もなくコロコロと転がり落ちています。 幸い途中で止まりましたが、雪の上だとまったく音がしません。落石がもっと大きくて傾斜が急なら恐ろしいですね。 『ガスっている時は周りが見えないから、なおさら怖いよ』と。さすがは達人、危険回避能力にも長けています。 |
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13:30 八合目〜九合目は緩やかな傾斜 | ||
八合目の小屋を過ぎたら、傾斜は一旦緩みました。ずっと雪の上。ずっと直登。たま〜に後ろを振り向いて、 遥か下の景色を見てみるものの、上を見上げても頂上はまだ遥か先。 時間の経過も どう〜でもよくなり、ただただ無心で登り続けます。 休憩は、風が強い時に立ち止まる程度、たま〜に立ち話をする時で、あとは延々と歩き続けるのみ。 ペ−スは変わらずゆっくりとした一定ペ−スなので、疲れないし、汗もかかないし、喉も渇かない。 このスタイルが登頂成功の秘訣でしょう。さすが達人! |
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富士宮口は南斜面なので 日がよく当たります。 気温は10度以下だと思うけど、風があり、 たま〜に強風が吹くこともありました。 富士達さんによると、その前の三日間 よりも一番風があったとのことです。 その風のおかげで、雪も腐ることなく いい状態でしまっていたのでしょう。 登っていた人も多かったから斜面も 階段状になってる箇所もあって苦労なく 高度を稼いでいきました。 下ってくる人ともすれ違うようになりました。 スキ−ヤ−やボ-ダ−は軽快です。 シリセ−ドを試みている人もいましたが、 思うように滑りません。 この雪なら滑落の心配もなさそうで、 最大の不安材料だった滑落の恐怖は なくなりました。 |
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13:35 一歩一歩ゆっくりと・・・ | ||
14:00 山頂の鳥居が見える。ラストスパ−ト! | ||
そろそろ9合目を過ぎたあたり。この先はちょっと狭くなり、傾斜が増してきました。 でもこのあたりの雪はキメが細かい感じがして、ほどよくしまっていました。アイゼンの利きもバッチリで、滑落の心配もありません。 9合五勺からがラストスパ−トです。 夏でもこのあたりからが一番辛いですが、黙々と一歩一歩登るだけ・・・。鳥居が見えてもなかなか近づいていかないんだよね〜。 |
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3人の男性がロ−プで繋がって下山してきました。「あれま、下りはヤバいのかしら?」ってちょっと不安に・・・。 そこへ、鳥居から山スキ−ヤ−が2人降りてきました。出だしは横滑りでそろりそろりと高度を下げています。 ちょっと広まった斜面からやっとシュプ−ルを描きました。山頂までスキ−を上げるのも楽じゃないんだろうな〜と。 |
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14:20 富士山山頂 | ||
鳥居はたぶん2mほどの雪に埋もれ、上の部分だけ出ています。 凍りついた雪は青く透きとおって美しいけど、厳冬期の山頂の厳しさを垣間見た感じがしました。 浅間大社奥宮も雪に埋もれて屋根だけ見えています。 |
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積雪は2mくらい! 鳥居の上だけ見えてます。 奥宮も屋根だけ 山頂に来ないと見られないお鉢だよ〜 | ||
気温はプラスですが、風が肌寒く、手袋を外すと急激に寒さがやってきます。 お鉢はすっぽり雪の中。こんな景色が見れるなんて、すご〜い。 てっぺんまで登らないと見られない景色です。 剣ヶ峰は風が強そうで、馬の背を歩きたくないし、時間も遅いので止めました。 頂上に居合わせた方が富士達さんに気がつき声をかけてきました。 『あっ!○○さん!・・・その節はアドバイスありがとうございました。行ってきましたよ、アコンカグア。 やはり天候が難しかったですねぇ〜。』 富士達さんは富士山では有名人のようで、よく声をかけられるそうです。 |
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剣ヶ峰 | 富士山浅間大社・奥宮鳥居 | |
風が強く、上空の雲はものすごい速さで飛んでいきます。 上空の空の色はひときわ煌めく青色で、富士山の雄姿は遠くからでも眺められるはず。 下界のどこからか、みんなが眺めているその富士山のてっぺんに自分がいるんだな〜と思うと感無量です。 登頂の喜びをひしひしと感じたいところですが・・・。 まだ下山が残っているじゃん。 無事下山できたら、手放しで喜べるってもんでしょ。 大福を ほおばって、スポ−ツドリンクを飲んで、いよいよドキドキの下山です。 |
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14:50 下山開始 | ||
鳥居横から下る斜面を見たら、 登ってきた時に感じたよりも全然 なだらかな傾斜じゃないですか! 「何〜んだ。これなら自分の力量でも 問題無く下れるよ〜。」 ほどよい雪質でアイゼンがきっちり利 きます。万が一転倒しても、 滑落する状況はなさそうでした。 5月の雪質+天気+気温+時間+風と、 さまざまな条件により、難易度が増す のでしょうが、 その日は富士山初心者には最適な 条件だったのでしょうね。 9合5勺を過ぎると、 傾斜はゆるやかになります。 目の前には愛鷹山の山塊が平地の中に ぽっかりと浮かんで見えます。 |
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14:50 下山開始 遥か下まで雪の世界 | ||
9合目あたりまで下りました。 このあたりの傾斜と、この雪質なら、 私でも山スキ−ができそうです。 機会があれば、山スキ−もやってみたく なりました。 8合目の小屋が見えてきました。 登りはみんな沢の中を登るのだけど、 下りは傾斜がいくらかゆるい宝永火口 寄りの斜面を下っていきました。 ここでもシリセ−ドを試みている登山者も いましたが、はやりスピ−ドはイマイチでした。 午後の日差しで雪が腐り、膝まで雪に 埋もれてしまう場面もあったけど、 幸い風があったおかげで、モモまでは 埋まることもなく、靴が水浸しに なることもなかったです。 |
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15:25 下りはじめて30分・・・ | ||
15:50 シリセ−ドの跡もあります 16:23 新七合目あたりで砂礫を横切り 西側の雪の中へ移動 | ||
そのまま真下に下ると宝永火口に入ってしまうので、新七合目から右寄りに方向変換。 少し瓦礫の中を歩き、雪の中へと戻りました。アイゼンを付けての瓦礫歩きは足場が悪く、落石をさせないように気を使います。 このあたり、1週間前と様子が変わって、雪が溶けてしまったみたい。 融雪は日ごとに進むのですね。 |
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16:30 宝永火口と愛鷹山 17:05 日が翳り、雪面は歩き易くなった | ||
6合の小屋もスカイラインも見え、ゴ−ルはもうすぐ。 斜面は日陰になったので、雪も腐っていなくて、最後まで靴もズボンも濡れることなく下山することができました。 |
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時間は夕方5時半。 朝9時に出発したので、8時間半の 『本気の富士山』 を、無事成し遂げました。 富士達さん、 どうもありがとうございました。 夕方5時半に富士山スカイラインの 入口は閉鎖されますが、 下り側は通行できました。 5月5日の行楽渋滞を避けたつもりが、 富士サファリパ−ク周辺で、渋滞でした。 でもその途中から見えた富士山は、 すごく雄大で、美しさに見惚れて しまいました。 さっきまであの頂上に居たなんで信じら れないような、感動的なご対面でした。 |
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17:25 駐車場着 | ||
スカイライン開通から1週間。その間でも日毎に融雪は進み、富士山の登りル−トも刻々と変化するようです。 富士山は標高も高く、独立峰なので登り始めの天気は良くても、途中から天候が急変することもあり、撤退することもあるそうです。 富士達さんは毎回、同じ富士山は無いと言います。 『この山は 何度登っても 魅力にあふれている!』 残雪期は1日、1登頂ですが、ハイシ−ズンには1日に2登頂して(基本は1泊2日で4登頂) 今シ−ズンも200回登頂を目指すようです。 以前には、AKB48や有名モデルさんとも富士山を登っている、役得ものの富士達さん! 今年はどんな出会いがあって、どんな驚異の記録を作るのでしょう。 まずは1234回目の登頂も楽しみですね。 応援してますからね〜(^。^)y-.。o○ |
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