飯豊山縦走
2008年10月11日~13日
飯豊連峰は新潟県・山形県・福島県にまたがる東北の山の中でも南北に長いスケ-ルの大きい山脈です。
島田しらびそ山の会のメンバ-全5名で北から南に縦走してきました。縦走は入山・下山時の足を含め、容易いことではありません。
今回の大縦走の実現は、山形県酒田市のM夫人と、新潟県胎内市のI氏親子のご尽力によるもので、あらためてお礼申し上げます。
10月11日
6:00発奥胎内ヒュッテ-7:10姫子の峰-10:45大石山分岐-11:30頼母木小屋(幕営)
出発日(10月10日)がF1グランプリ
開催日だったので、御殿場の渋滞
を避け、河口湖ICから中央道~圏央
道~関越自にて新潟県に入りました。

雨の降る中、奥胎内ヒュッテ手前の
空き地にテントを張り仮眠。
初日から濡れたテントを持つことに
なってしまいました。

足の松尾根は名前の通り松の木が多く、根っこが張り出している道でした
翌朝車の回送を引き受けてくれるI氏とご挨拶し、その後乗り合いタクシ-にて登山口≪胎内口≫へと向かいました。 
中腹からの紅葉はいちだんと華やかさを増していきました
朝の出発時から雨・・・(-_-;)
『初日から雨ってあんまりないよな』と、テンション低くスタ-トしました。
出だしはいきなりの急登で、先が思いやられましたが、じきに緩やかになりました。≪足の松尾根≫の名の通り松の大木が多く、
足元には根っこが張り出し歩き難い道でした。部分的に情け容赦ない急登が続いて息が切れます。

登り始めて1時間強で姫子の松に出ました。小雨混じりで遠望はありませんが、周辺の紅葉はいい感じです。
その後1時間ほど登ると滝見場があり、
左下に滝が見えました。

、登山道周辺の紅葉は最盛期で、
赤や朱色、黄色とグラデ-ションが
豊富でとっても見事でした。
この鮮やかさが
東北の山の魅力だと思います。

途中2箇所ほど岩場があり、下りや
雨の時には注意して通過したい所でした。

雨は降ったり止んだりで、
暑くなってカッパを脱ぐと
また降り出したりして、
脱いだり着たりと忙しかった。
ダケカンバの森になりました
歩き始めて3時間位、ダケカンバが出てくると森の雰囲気が変わり、白い幹に黄色がの葉っぱが映えます。
大石山分岐     稜線は強風と雨で視界も悪い    頼母木(たもぎ)小屋       夕食はカルビ焼肉と野菜炒め
大石山分岐に着きました。標高差1100mの急な尾根歩きで、足はすでに疲労気味です。
大石山の分岐から朳差山(えぶりさし)へ行く計画は、小雨で視界も悪く諦め、笹原の道を頼母木小屋へと向かいました。

稜線に出ると急に風が強くなり、雨と霧で視界が悪くなりました。せっかく稜線に出たのにあいにくの天気です。
この先に進むかどうかを検討し、今日の足の疲労度と明日の長丁場を考えて頼母木小屋に幕営することにしました。

ここ新潟県の頼母木小屋と門内小屋のトイレは・・・何と!自転車のペダルが設置されているバイオトイレでした。

期間外なので、幕営料は無料、缶ビ-ルはちょっとお高めの700円。
幕営料代わりにビール代をたっぷり払い、夕食は特上カルビ焼肉とたっぷり野菜炒めで、お腹も心もたっぷり満たされました。

前日は20時前には就寝。時々小雨が降ったり、風がテントを揺らすこともありましたが比較的あたたかな夜でした。
テントに当たる音が時々雨から雪に変わったのもわかりました。
一夜明け出発時には小雨と霧で視界が悪いうえ風も強く、あいにくの天気でした。
今日は縦走のハイライト!稜線歩きです。天気予報では曇りから天気は回復するといっていたのにとっても残念です(-_-;)


10月12日
5:05発 頼母木小屋-6:25地神山(標高1850m)-7:25門内小屋-9:05北股岳(標高2025m)-
10:30烏帽子岳-13:00御西小屋-14:45大日岳-16:00御西小屋
強風にあおられながら歩く
地神山山頂(標高1850m)
登山道のクマザサとナナカマド
なだらかな稜線歩きなのですが、霧と小雨と強風で視界も悪く、風にあおられながらの歩行となりました。
体感気温が低いので、顔もできるだけ覆い、フリ-スの手袋がとてもありがたかったです。

地神山北峰(標高1800m)は登山口・飯豊山荘からの丸森尾根分岐があり、
ここから25分ほど雪を被った草原を登りつめて地神山に到着しました。
エビのシッポ
クマザサの中を歩く
北股岳(標高2025m)
クマザサやハイマツなどは背丈があるので強風の影響も少なく胎内山の小ピ-クを通過しました。
出発して2時間20分で門内小屋に着きました。門内小屋はすでに無人の避難小屋になっていて、
中に入るとすっかり冷え切った体をコーヒ-を沸かして温まりました。

夏ならお花畑の広がっている広い稜線を視界が無い中ひたすら登っていきました。標高が上がるにつれて積雪は増えていきます。
相変わらず寒さと霧でどこを歩いているのか、どこに向かっているのかわからなまま、出発して3時間で北股岳に到着しました。
北股岳にある石の鳥居には雪の造形が付き、ますます寒々しい限りでしした。
梅花皮小屋
石転び沢
草紅葉は雪の下
小雨も止んで、北股岳から少し下って梅花皮(かいらぎ)小屋≪山形県≫で小休止しました。
小屋を出発する時に霧が取れて視界が開けてきました。ここで飯豊山の登りのメインル-トである
石転び沢を、眼下に見ることができ大喜び!。

少しずつ天気は回復傾向でまずはひと安心です。その後お花畑だった稜線を歩き、梅花皮岳へ。
小ピ-クをいくつか越えて烏帽子岳に到着しました。
どちらも視界が悪かったためか、頂上である標識がなければ通り過ぎてしまいそうなピ-クだったような気がします。
夏は一面お花畑の草付きを軽快に歩く・・・            天狗の庭の湿地帯
烏帽子岳からはお花畑を歩き、広い稜線のガレた道を下って、御手洗いの池まで下ってきました。
思ったよりも大きな池で、ナナカマドの赤がアクセントのしっとりと静かな空間でした。
左手には飯豊本山に直接登る大嵓(だいぐら)尾根が見えました。
その後、天狗岳のピ-クは巻いて
御西小屋に到着しました。

御西小屋は営業していて、素泊りは
2000円、幕営は一人500円でした。

)小屋横の風が来ない空き地に
テントを張ることにしました。

その後、霧で視界が悪かったけれど
、今日のノルマである飯豊山の最高峰
まで空身でピストンすることにしました。
御西岳避難小屋
小屋の東側にテントを設営
チングルマの紅葉
霧が晴れて大日岳が現れました
薄く霧のかかる中、とりあえず大日岳方面に向かって進みました。
小屋から少し下った所にはチングルマの一大お花畑が広がっていて、赤く紅葉しているのが見えました。
この時、急に視界が開け、前方に大日岳~牛首山が大きく見えはじめたのでした。
この頃から急速に天気が回復し、草紅葉と紅葉真っ盛りの木々にすっかり魅了され、気持ちのいい広い稜線を歩いたのでした。
山肌には笹原の中にダケバンバとナナカマドが絶妙のコントラストだ     大日岳山頂(標高2128m)

北俣岳と烏帽子岳を望む                  チングルマの紅葉と大日岳
今日霧の中で歩いてきた北股岳の稜線もすっかり晴れ渡り、『あ~あんな所を歩いてきたんだぁ~』
と眺めながら、テンションも高く大日岳を目指しました。


この大日岳は飯豊連峰の中の最高峰です。百名山は少し低い飯豊本山に譲りましたが、
晴れていたら飯豊連峰を見渡る絶景ポイントだったことでしょう。
夕食はうなぎの櫃まぶしとホワイトシチュ-
小屋番はとても世話好きの方で、宿泊者も多かったようです。テントはもう1張り出来上がっていました。
ビ-ルは売っていないので、各自用意した各種アルコ-ルで今日一日の労をねぎらいました。
夕食はホワイトシチュ-とうなぎの櫃まぶし。 もちろん大いに盛り上がって秋の夜長を楽しみました。

夜はすっかり晴れ渡り、ほぼ満月の月明かりで少し寒いけど明るい夜でした。

  (私達のテントは騒音もなく、ぐっすり眠れましたが、小屋に泊まった人の話によると、騒音公害で眠れなかったと言っていました。
  その時の話を笑いながら聞いていましたが、人数の多い小屋では熟睡できない環境の確率が増えるのでちょっと敬遠してしまい
  ますね。  そんな時テントはいいなぁって つくづく思います)

夜空には満天の星、眼下には福島県の会津の町の明かりが見えました。
翌朝はすっかり晴れ渡り、肌寒さに深まる秋を感じました。朝日が照らす大日岳をバックに、いよいよ飯豊本山に向かいます。
10月13日
6:00発 御西小屋-7:15飯豊本山(標高2109m)-8:45草履塚-9:05切合小屋-10:30三国岳-
11:50横峰-13:10川入キャンプ場--
ほとんど平らな道を東へ進みます。
水溜まりには霜や氷が張っていました。

右手の広い窪地は一面草紅葉が
広がっていて朝日を浴びて山吹色に
輝いています。
振り返ると大日岳も大きく見えました。

360度の大展望を楽しみながら
御西岳へ・・・

『やはり稜線歩きは晴れた日がいいな』 

と、左手に見える朝日連峰や
月山鳥海山方面をじっくり眺め、
山裾に広がる雲海の美しさにも
見惚れてしまいました。
朝焼けの大日岳
草月平           のびやかな稜線を歩く           飯豊本山(標高2105m)
ゆったりとした草月平を過ぎ、岩のゴロゴロした斜面をひと登りして飯豊本山(日本百名山)に到着しました。
空は真っ青!展望も申し分ありません。ここが今日の最高到達点です。ひとしきり大展望を満喫したのち、縦走はまだまだ続きます。
本山小屋
草履塚~種蒔山方面を望む
気持ちのいい稜線歩き
飯豊本山から少し下った所にある本山小屋には多くの登山者がいました。ここからは下り調子でお気楽な稜線散歩。
周りの紅葉も赤や黄色で大賑わいです!。
岩場の御秘所を下ってすこし進むと、老婆のお地蔵さんが珍しい≪姥権現≫がありました。
ここから少し登ると沢登りの終点にあたる≪草履塚≫のピ-クがあってワラジが架けてありました。
ここからの下りの紅葉は一段と素晴らしく、真っ青な空にナナカマドの赤と朱色が輝いていました。
草履塚
ナナカマドと種蒔山方面
青空に真っ赤なナナカマドが映える
草履塚から少し下ると切合小屋がありました。飯豊の山の特徴のひとつとして、水が豊富のあることと、
縦走路に小屋が多いということです。そのほとんどは避難小屋で、夏場は管理されているけどそれ以外は
無料で開放されているので悪天時にも心強く、トイレが使えることもありがたいことです。

ダケカンバとサラサドウダンの黄葉・紅葉       紅葉・黄葉オンパレ-ド  縦走最後のピ-クに建つ三国小屋
紅葉三昧の稜線を、少しずつ高度を落としながら進んでいきます。ナナカマドやモミジの他にツツジやサラサドウダンの
紅葉も鮮やかです。  太陽は燦々と降り注ぎ、昨日までの寒さがウソのよう!。Tシャツ一枚で快適です。
種蒔山を過ぎ、鎖場を降りると三国岳への登りになりました。
三国岳からの下りを振り返る           これから下る稜線上の山並み
三国岳で縦走最後の展望を楽しみ、これから御沢までひたすら下るのみとなります。
三国岳から剣ヶ峰の岩稜帯では今年に入って3名の死亡者が出ているとのことで、慎重に下りました。
途中の岩場では追悼登山の一行がロ-プを出している場面もありました。
しかしながらこの岩場と紅葉の
コントラストは美しく、振り返ると
全山紅葉の三国山が
大きく迫っていました。

両側が狭まった岩場を通過して
剣ヶ峰に到着、その後も岩場を
慎重に下っていくと、
潅木帯へと入っていきました。
剣ヶ峰に向かう岩場と紅葉
剣ヶ峰
ダケカンバの黄葉
深く えぐれた道
ナナカマドやダケカンバの多い潅木帯に入ると、いよいよ後は下るのみです。
辺りの紅葉は一段と華やかさを増し、山は紅葉・黄葉、気分も高揚のこうようづくし・・・!。

登山道は砂地や粘土質で、長年歩かれていることや水が流れることで随分えぐれた道でした。
所々に階段状にえぐられた急な下りがあり軽快に高度を下げることができましたが、ギャップの激しい道でした。


所々にモミジの赤やオレンジがドキッとするくらい鮮やかです。
急でえぐれた道を上十五里~中十五里
~下十五里と下っていくと、あたりは
だんだん緑色に包まれてきました。

ブナ林は清清しい風に包まれていました。

沢の音が近づくとゴ-ルはもうすぐです。


真っ赤なモミジ
ブナ林
御沢には山都町指定の天然記念物、
杉と栃の木がありました。

林道を10分ほど歩き、川入キャンプ場
が見えると、一番手前に車が待って
いてくれました。

回送の段取りをしていただいた方々
に感謝、感謝で車に乗り込みました。


向かった先はもちろん温泉です。
いいでの湯で温泉に入り、
お蕎麦も食べ、
選ばれた人だけ生ビ-ルも頂け! 
もうもう大満足でした(*^。^*)。

御沢 登山口
2本の栃の木
東北・関越自の渋滞を避け、磐越自~北陸自~上信越自~長野自~中央自~R52~東名高と、ETCカ-ドを駆使し、
はるか東北の地から戻ってきたのが日付の変わった1時30分 \(◎o◎)/!。  やはり飯豊山は遠かったです。
 
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