その昔・・・平安の貴族たちは、護衛の武士や女官など数百人を引き連れて熊野三山を目指したそうです。
もともと熊野には隠国(こもりく)という意味があり、祖霊がこもりなす国、女神イザナミが附い赴いた黄泉の国。
平安の中期から鎌倉時代にかけては多くの庶民も熊野詣に繰り出し、街道には行列ができたと伝えられます。
熊野三山とは
熊野本宮大社・熊野速玉大社・
熊野那智大社
です。

熊野古道には・・・

 大阪方面から南下して、
本宮まで山 越えの

中辺路(なかへち)


 紀伊半島をぐるりと回る

   大辺路(おおへち)


 伊勢神宮から熊野三山に
向かう
 伊勢路

 高野山から本宮に向かう
        小辺路(こへち)


 吉野山から熊野本宮を結ぶ道は
  山岳修験者がたどった修行道
-
大峯奥駈道
(おおみねおくがけみち)


と、多くの古道が今でも残っています。
島田からは東名〜伊勢湾岸〜伊勢自〜紀勢自(途中まで完成)と高速道路が使える場所までは早いけど、
それからは山道や熊野灘沿いの一般道となり、起点の熊野本宮大社までは8時間くらいかかりました。

12月8日(土) 晴れ

12:15 熊野本宮大社 −12:50 請川バス停前 ー 13:00 熊野古道(小雲取越)登山口ー13:45 昼食
ー14:35 万才峠分岐ー15:00 百間ぐら − 15:40 賽の河原 − 15:40 石堂茶屋跡 −
 16:20 桜茶屋跡 −17:30 小和瀬バス停・下山・・(バス)・・・17:45 小口自然の家(泊)

      12:20 熊野本宮鳥居     幟はためく石段      熊野本宮総門(これから先は撮影禁止)

途中、隊長の知り合いで古道ガイドをしてくれることになった【南元氏】と合流し、熊野本宮大社に着きました。
熊野古道や紀伊半島の山々の山地ガイドをしている方で隊長と同年代のようです。
愛称【ガイドのなんちゃん】に、二日間楽しく名所旧跡を案内していただきました。
もともとの社殿は現在地より熊野川に沿って500m下流部、熊野川と音無川、
岩田川の中洲・大斎原に鎮座していて五棟十二社の社殿などがありましたが、
明治22年の大洪水より流失。残った上四社が現在の高台に還座されたのだそうです。

熊野本宮には三本足のカラスの絵の幟がありました。
熊野では
八咫烏(やたがらす)を神の使者と言われていて、
三本足は熊野三党(宇井・鈴木・榎本)を表すともいわれ、
本宮では主祭神 家津美御子大神の御神徳である
智・仁・勇 又 
天・地・人を表しているそうです。

日本書紀には初代天皇となる神武天皇が大和国に攻め入ったとき、
天照大神の使者として道案内を務めたのが三本足の巨大なカラス

≪八咫烏≫
であったと記されているようです。

13:00 小雲取越・登山口   13:10 民家を通り過ぎいよいよ古道の中へ  13:30 植林の林を歩く

参拝を済ませ、登山口に着くころは、すでに午後の一時。 昼食前ですがいよいよ古道歩きのスタ−トです。

雲取越は那智から小口までの大雲取越と小口から本宮までの小雲取越を合わせた約35Kmの峠道。
最高点の越前峠では標高が870mにもなり、雲が手に取れるほど高所を行くことからその名が付けられ、
勾配の険しい道が続くため熊野古道の中でも一番の難所ということです。

道路脇の山の斜面の取り付きはコンクリ−トの階段です。
民家の玄関のある小路を通過しながら杉や檜の植林の古道に入っていきました。
熊野古道薬草弁当1000円 14:35 万才峠分岐 14:55 山並みが連なる
熊野古道の道幅は籠の担ぎ手が横に二人並べる広さ以上です。小雲取越はあまり大きなアップダウンはありません。
少し登って、しばらく平らな道が続きます。杉・檜の植林の中を歩くので空の広がりも、周りの展望も あまりありません。

ススキの原があり、日当たりのいい場所で遅めの昼食です。
来る途中の道の駅で買った熊野古道弁当には名物のめはり寿司や押し寿司、サンマの昆布巻きなどが入っていました。
杉・檜の植林は人の手が加わり、
間伐や枝きりも施され、美しい姿です。

古道にはゴミも無く、さすがは世界遺産
と感心させられました。

今日の高低差は300mちょっとで、
標高の一番高い所は百間ぐらです。

所々展望の開けた場所からは山々が
幾重にも連なった景色を
見ることができました。
道ばたにアサマリンドウが咲いていました        13:40 賽の河原
今日は、歩行時間だけで4時間半です。
13時から歩き始めたので休憩を
含めたら山中で日没をむかえます。

【ガイドのなんちゃん】は早駆けで
みんなをリ−ドしていきました。

自分達の感覚では夕方5時で暗い
けど、ここは静岡よりも西に位置
するので、夕方5時を過ぎても
まだ明るいことが意外でした。

結局最後の15分ほどヘッドランプ
を使い、小和瀬の渡し場跡まで
下山することができました。
15:45 石堂茶屋跡         16:25 時々展望が開ける
ここからマイクロバスで5分ほどの
小口自然の家に向かいます。

ここは、旧小口中学校を利用した
宿泊施設です。
まずはお風呂に入り、部屋で
ビ−ルを一口・・・。
その後食堂で夕食になりました。

夕食の後は囲炉裏に火を入れ
二次会が始まり・・・
部屋に戻って3次会まで続きました・・・。
【ガイドのなんちゃん】に熊野古道の
話をいっぱい聞けました(*^_^*)
一日目〜小雲取越(13km・標準歩行時間4時間25分) 請川(那智本宮大社)〜小口(小口自然の家)
二日目〜大雲取越(14.5Km・標準歩行時間5時間10分) 小口〜熊野那智大社
12月9日 (日) 晴れ

6:50 大雲取登山口 − 7:10 円座石(わろうだいし) −7:50 楠の久保旅籠跡 −9:00 胴切坂看板 − 
9:15 越前峠 − 10:15 車道に出る 新しい休憩舎 − 11:25 色川辻ー 11:45 舟見峠(昼食)ー 
13:20那智高原休憩所 −13:45 青岸渡寺ー13:55 那智大社ー14:10 大門坂ー14:30 駐車場
6:50 大雲取越登山口 7:08 石畳の急登 7:10 苔むした石段が続く・・・
いつも翌日後悔するので・・・今回は普段よりアルコ−ルの種類を控えたせいか、今日は絶好調です (*^。^*)
『ただ・・・【ガイドのなんちゃん】だけは飲みすぎたと言っていたようです・・・(@^^)/~~~ 』
大雲取越は標高差800m以上の熊野古道最大の難所です。 核心部は登り始めの2時間です。
この標高差を2時間ちょっとで登っていきます。

まだ陽の当たらない薄暗い石畳を登り始めました。苔むした岩に、歴史を感じる石段の登りです。
湿っているので足元に注意ですが、この道を雨の日に降りるのはイヤだと思いました。
7:15 円座石(わろうだいし)        7:25 シキミの林
登り始めて25分ほどで最初の名跡≪円座石≫に到着しました。
巨石の上面の模様を座布団に見立てて、熊野の神々がそれに座ってお茶を飲んだり相談ごとをしたと伝えられます。
その先にはシキミの林や雑木の林などがあり、かつて人々が生活していた名残を感じることができました。
7:55  石畳の道     8:05 苔むした岩に佇むお地蔵様       8:17 延々と石畳が続く
単調な登りの中にも平らがあったり下りがあったりします。
苔がついて湿った石畳をくだる場面では滑らないように慎重に足を運んでいきました。
熊野古道には多くの石地蔵があって、道中で行き倒れた人を弔うために祀られています。
8:50  苔の色が美しい石畳の道           8:55 杉の苗木の植林風景
そろそろ登りも飽きてきました。 前方が明るくなって『もうじき峠かな!って思っていると、道はジグザクにカ−ブしていました。
数回裏切られ・・・胴切坂の看板の先、10分ほどでやっと越前峠に到着しました。
今日一番の大きな登りはこれで終わり、ここからはアップダウンを繰り返しながらいくつもの峠を越えていきます。

今日の行程はハ−ドですが、下山後、島田までの移動時間も長く、帰りの時間を気にしながら行動しなければなりません。 
隊長が【ガイドのなんちゃん】にプレッシャ−をかけるので、今日も古道を早駆けしています。
9:50 小川にはハヤが泳いでいる   10:00 石組みの階段を登っていく    10:20 真新しい休憩舎
沢にかかったコンクリ−トの橋を渡るとしばらくは平らな道がくねくねと続いていました。 
まだ新しそうな石組みの緩やかな階段を登っていくと、下に車道が見えます。
ここで一旦下って車道に出ました。車道にはトイレと、道の反対側には出来たばかりの休憩舎がありました。
熊野古道道標        10:30 車道を歩く    10:40 舗装道路の向こう岸には≪新!熊野古道≫が
車道の小川を隔てた向こう岸には世界遺産登録後に出来た≪新!熊野古道≫がありましたが、アップダウンもあるし、
車道の方が古いからという理由で 約20分位は車道にエスケ−プしました。
古道の近くには車道が通っていて、観光で巡る場合はポイント・ポイントで車を降り、その周辺の古道を歩くのだそうです。
11:48 舟見峠          13:25 那智高原休憩所      13:40  那智大社に降りる石組の階段
再び熊野古道に入りました。舟見峠に登る道は 『亡者との出会い』 とも呼ばれていて、
山で飢えて死んだものが
 『ダル』 と呼ばれる悪霊となって峠を越える旅人に取り憑くという言い伝えがあるようです。

舟見峠の手前の展望の開けた場所から、海が見えるようになりました。すいぶん南下してきたことがわかります。
舟見峠からは以前はもっと海が広く見えたのでしょうが、現在では木々が成長しすぎて展望はあまりよくありませんでした。
ここで約30分ほどの昼食タイム。宿で作ってもらったおにぎり弁当を食べました。
13:45  青岸渡寺 鐘楼横の熊野古道大雲取越登山口     三重の塔と那智の大滝を望む
二丁石〜一丁石と道標のある石組みの階段を降りて、青岸渡寺に続く急な石段を降りると 那智の大滝が見えました。
御神体の大滝には時間がなくて行きませんでしたが、次に青岸渡寺へと歩きました。
13:45  青岸渡寺  こちらを向いているのが 【ガイドのなんちゃん】 13:45  青岸渡寺
青岸渡寺は西国三十三所観音巡礼の第一番札所です。ここで慌ただしく参拝を済ませ、鳥居をくぐり那智大社へと進みました。
13:55 那智大社                            14:15  大門坂
まずは、平重盛手植えと伝わり、諸願成就の神様としても有名な樹齢850年の大楠が迎えてくれました。
帰りの時間が迫っているので、参拝もそこそこに大門坂に向かう石段を降りていきました。
参道の両側にはお土産屋さんが軒を連ね、名物の那智黒などを売っています。もっとゆっくり見たかったけど先を急ぎました。

大門坂の広い石畳の両側には樹齢700年〜800年あまりの見事な杉の大木が、静かに歴史の流れを見守っていました。
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