待ちに待った梅雨が明け・・・! でも今年の夏は いつもとちょっと違う・・・?

梅雨明け後の好天予報が続くのを待って北アルプスを縦走しようと思っていたのに好天予報が3日と続かない (~_~;)

3週間 時期を待っていた北アルプスは結局諦め、出発2日前に大幅に計画を変更したのでした。

1日目   2009年8月7日(金)

8:00椹島-小石下−12:00清水平ー蕨段ー14:50駒鳥池ー16:00千枚小屋
北アルプスから軌道修正して、地元の山 南アルプスに登ることにしました。

南アルプス南部の山・・・特に静岡県側から入るル−トはアクセスが悪く、全国から
集まる登山者達は、登山基地である椹島まで入るのに一日を費やしてしまいます。

私は山の仲間達と何度も椹島、二軒小屋に入り、色々なル−トで山を歩いて
きましたが、再びこの山域に入るのは3年ぶりとなってしまいました。

ル−トは2泊3日で千枚岳から荒川〜赤石岳。

朝4時20分に家を出るなんて、随分遅い出発ですが、大井川沿いをぐんぐん
上流に車を走らせ、約2時間(100km)で、畑薙ダムに着きました。
一般登山者はここで、東海フォレストのリムジンバスに乗り換えます。、
畑薙ダム
朝8時に椹島を出発しました。



今日の行程は千枚小屋まで、
ずっと・ずっと・・登るだけ・・・。 

ちょっと気が重いのは、辛い登りを
ただ耐えて登るのみの
長い一日が始まったという事。

そして重いのはザックも同様です。 
登山基地 椹島(標高1100m) 吊橋(奥西河内)を渡ると、いよいよ・・・長い長い登りが始まる。
うっそうとした樹林 大岩の急登 ・ 登り始めて2時間20分の所の標識 ・ この周辺だけ明るい雰囲気(小石下周辺)
「だらだらとした尾根歩きだから、多少荷物が重くても何とかなるら!」という安直な思考で、
幕営道具一式と二日分のビ−ルも持ち、総重量は18kg。
最初は岩のゴロゴロした道の急登が続きます。うそうとした針葉樹の森で、展望もありません。
小屋泊まりの登山者には追い抜かれることも、たびたびあり、
「のぶさんを見習ってザックやテントも軽量化しよう!」とか、
「でもビ−ルが重いんじゃないの?・・・!」などと・・・自分勝手な独り言で、気を紛らわせてみました。
ずっと樹林帯の中・・・歩き易い道が延々と続く    12:00 清水平        清水平にあったシャクジョウソウ
管理道を2回横切り、周囲がダケカンバの林になり少し明るくなりました。
近くを車が通り、そろそろ小石下かなって思ったものの、標識があったのかもわかならいまま 通りすぎてしまったようです。
周囲は相変わらず樹林の中で展望も利かず、おまけに励みとなるような標識もないので、今どの辺りまで歩いたんでしょう?

登山口を出発して4時間、水場のある清水平に着きました。(標識の字も消えかかっています) 
ここまでで今日の行程の約半分です。水筒に水を補充して、変化に乏しい樹林を再び登っていきました。
小雨が降り出しました。 13:00 歩き始めて5時間経過しました・・・ここは蕨段(標高2053m)
今日は晴れ予報だったのに、ぽつぽつと雨が降り出しました。
幸い樹林の中だし 小雨程度だったので、簡単に雨具を羽織り、先を急ぎました。

13時、蕨段の標識のある所まで来ました。

もう5時間も登りっぱなしなのに・・・

  「 ガァ〜ン!\(◎o◎)/! 」

千枚小屋まであと3時間という標識に超がっかり・・・ (ToT)/~~~   

(この登りのキツさ&辛さが南アルプス南部の山の真骨頂なんでしょうね!)


見晴台を過ぎ、黙々と歩きます。
標高2300m付近にはシロバナイチヤクソウが咲いていました。
目立った花はこれくらいでした。
この辺りは明治40年代まで林業が盛んだったようです。運搬の為の木場道になっているので傾斜が緩く、歩きやすい。
やがて駒鳥池が見えました。ここまで来ればあとひと頑張りです(*^。^*) 
14:50 駒鳥池(標高2411m)
駒鳥池まで降りて大休止。今日の見所は駒鳥池だけです。

このあたりの山々は稜線より下の部分は東海パルプの私有林です。
今から100年ほど前の林業が盛んだった頃はこんな標高の高い樹林の中でも人々が働いていたんですね。
登山道には当時の繁栄を偲ぶ軌跡を見ることができます。
カニコウモリが咲く登山道 小屋まであと15分の標識
右側から作業道から来る道と合流し、あと少し・・・。
カニコウモリの群落を過ぎるとマルバダケブキの黄色の花が目立ち、トリカブトも蕾を付けています。
鹿も食わない花ばかりが目立つお花畑が見えてくると、千枚小屋はすぐそこです。

時間は夕方4時。やれやれ8時間かけて登ってやっとたどり着きました。

焼け跡には白いテントが張られ、テ−ブルと椅子が置いてあり、自炊できるようになっています。
その隣に立てられたプレハブ小屋が受付と食堂になっていました。
小さい食堂では夕食が始まっていて、少し離れた所の以前からあっ
た宿泊棟から傘を差して集まってきます。
今日は100名位というから寝床はすし詰め、食事は何回かに分けて摂るようです。

幕営代600円を払い、ぬかるんだ道をテント場へ向かいました。
小屋がいくら込んでいてもテントなら重いけど気楽です。

樹林の中のテント場には、すでに10張りほどのテントがありました。
中に入って寛ぐと、またパラパラと雨が降ってきました。
ソ−セ−ジとビ−ルが主体の夕食が終わり、ハ−ドワ−クな一日が終わりました。

外に出ると、すっかりと雨も上がり、日暮れ時の低くなった雲の上に、
ぽっかりと富士山の美しいシルエットが浮かんでいました。
左の肩には、まんまるのお月様もお出ましです。
千枚仮設小屋(受付と食堂)
(標高2607m)
2日目    8月8日(土) 

6:00千枚小屋ー7:00千枚岳−丸山−8:45悪沢岳(荒川東岳)−10:40荒川中岳−12:00荒川小屋−
14:35小赤石岳−15:10赤石岳−15:20赤石岳避難小屋
月夜に照らされて、明るく風も無く、
穏やかな夜でした。

翌朝は4時過ぎに目が覚め、
朝食とコ−ヒ−タイムの後、
テントを畳んで、6時頃に出発の
準備が整いました。

千枚小屋の前は富士山の展望台です。
今朝もきれいな雄姿を見せてくれました。

昨日は展望の無い樹林帯をひたすら
登るだけでしたが、千枚小屋からは、
高山植物がいっぱいの稜線歩きです。
朝6時 千枚小屋から見た富士山
千枚小屋上部のお花畑はマルバダケブキばかりが目立ちます    ダケカンバの道の右手には富士山が見えます

稜線に上がる手前には例年通りの高山植物が見られました          7:00 千枚岳(標高2880m)
千枚小屋の周辺もお花畑もすばらしいのですが、今年は花の種類が例年と違いました。
特に千枚小屋の周りはマルバダケブキばかりが目立ちました。この辺りまで鹿が上がってきてしまっているようです。

15分ほど登ってダケカンバの林を抜け、二軒小屋から上がってくる道と合流する辺りからは、
例年通りの色とりどりの高山植物が見られました。
稜線に上がると目の前に赤石岳がド〜ンと見えます。ガレをジグザグに登り詰めると千枚岳に到着しました。 
タカネマツムシソウやイワオウギ、タカネナデシコなど色とりどりの花が見られます。  タカネビランジ
千枚岳からザレ場を下り、岩場や
ガレた道では、他ではあまり見られ
ない貴重な花々が見られます。

タカネビランジもその一つ、
鳳凰山より色は薄くて白や薄ピンク色。
今年もたくさん咲いていました。

断崖絶壁の岩場に咲いているのは
数は少ないですが、ミヤマムラサキ。


岩稜帯の下にも色とりどりの
高山植物が見られます。

ハイマツ帯になると丸山の登りに
なります。
ここではライチョウが見られます。
千枚岳〜丸山の稜線から見た赤石岳(小赤石岳の向こうに赤石岳があります
8:45 荒川東岳≪悪沢岳≫  (標高3141m)
テガタチドリ・イワオウギ・トリカブト・チシマギキョウ・コバノコゴメグサ・ミヤマキンバイ・ミヤマシオガマ・チョウノスケソウ
丸山(標高3032m)を過ぎると次は悪沢岳です。道すがら、たくさんの花を見ながら大岩を乗り越え、荒川東岳に着きました。
荒川三山の中で東方にあるからこんな呼び名ですが、悪沢岳といったほうがお馴染みですね。

私は静岡県の高山植物保護指導員の会員になっていて、南アルプスの高山植物には詳しくはないもののとても感心があります。
会員にはバッチや腕章があるので、今日は腕章・バッチを付けて歩いていました。

緑色の腕章を見て、多くの登山者に声をかけられました。花の名前を聞かれることもしばしば・・・。
『高山植物の監視員ですか?』と聞かれることもあり、「いえいえ監視員ではないですよ」と、何度も答えました。 
チングルマ 中岳避難小屋手前に咲いていたクロユリ
高山植物パトロ−ル隊は北アルプスではよく見かけますが、南アルプス南部の山岳では見かけません?。
静岡県高山植物保護指導員は登山者などに対し、常に高山植物の保護思想の普及啓発に努めることを心得としています。
その業務遂行にあたり腕章やバッチの着用をしています。
登山道の美化活動として、登山道に落ちているゴミを拾う事もしますが、最近では登山者のマナ−も向上して、
キャンディ−などの小袋などが落ちている程度でした。
10:40 中岳避難小屋 ・ 前岳との分岐からトラバ−ス道を下る ・ このトラバ−ス道の大規模なお花畑は花が激減
中岳避難小屋を過ぎ、中岳を通過し、荒川小屋に向かうトラバ−ス道に入りました。
このカ−ル地形の中のお花畑が規模的に一番だと思っていたので、今年の様子を楽しみにしていましたが、
高山植物の数や種類が随分減ってしまっているように感じました。
12:00 荒川小屋 13:00 大聖寺平
ぐんぐん高度を下げて荒川小屋が見えました。行く手に見えるはずの小赤石岳方面には霧がかかっています。
荒川小屋で水を補給し大休止、昼食タイムです。 
歩き初めて6時間・・・昨日の筋肉疲労もあって今日もお疲れ状態です。
疲れた時のアミノバイタル(サプリメント)に今日も助けられて頑張っていますよ!。

さて、荒川小屋からが 気が重い・・・。標高差500mの辛い登りが始まります。
案の定、小屋からは樹林の中のいきなりの急登です。
やっと開けた場所に出て少し進むと大聖寺平がありました。
前回(3年前)、ここを歩いた時は、、強風と大雨にたたかれ、散々な目に遭い、ヨロヨロしながら必死に強風と戦っていました。
赤石岳まで、どんな道だったかまったく分からないままだったので、今日こそは、しっかり見ておきましょう!。
ダマシノ平を過ぎると再び急な登りとなる           足元の花にも目をくれず・・・ひたすら登るのみ・・・
赤石岳方面(頂上付近)は霧がかかっていましたが、大聖寺平からダマシノ平は尾根が広くなだらかです。
このあたりは風の通り道で荒天の時には雨風にあおられてしまいますが、今日は風もなく気持ちのいい所でした。

平らが終わると急登が始まりました。石がゴロゴロした急斜面をジグザグに登っていきました。
今日も疲れのピ−クに達しました。すでに行動時間は8時間・・・
道端にはチシマギキョウやタカネツメクサなどが咲いていましたが、
「そんなこと、ど〜うでもいい〜じゃん (*_*; 」
と花を愛でる余裕も無く、完全にバテバテ状態でした。
ナナカマドの花 (小赤石岳手前のお花畑) クロユリとハクサンイチゲ
やっと一つのピ−ク立ち、前方には霧の間から小赤石岳〜赤石岳が見えるようになりました。
窪地には日本庭園風なお花畑があり、ナナカマドやクロユリが咲いていて、やっとひと心地・・・(*^。^*)
14:35 小赤石岳 15:10 赤石岳 15:20 赤石岳避難小屋
小赤石岳からは赤石岳が間近に見えます。一旦下って、赤石小屋への分岐を左に見送ると、いよいよ最後の登りです。
地図には15分とあったので「楽勝!楽勝!」って油断していたら、この最後の登りが予想以上に苦しかった・・・。

赤石岳の標識を見て・・・「わぁ〜 また登ってこられました!」
初めてこの頂に立った時のこと・・・ 3年前の荒天の時のこと・・・
この山には自分なりの思い入れがあるようで、感無量な感覚になりました。

すぐ下には赤石岳避難小屋あります。
テント泊するには赤石小屋まで2時間下らなければいけませんが、ちょっとのぞいてみました。

中に入ると見馴れたお顔が宿泊者の受付をしていました。Eさんも私を見てびっくり!。
お酒のつまみを差し入れして、宿泊状況を聞くと、まだまだ余裕があるとのこと。

ロケ−ション抜群のこの小屋はとっても魅力です。

気ままなテント泊が好きなのですが、小屋番のEさんは山仲間でもあるし(飲み仲間?) 、
宿泊者たちの雰囲気に、とても好感が持てたので、今日はここに泊まることにしました。
17:00 赤石岳避難小屋のベンチから見た聖岳
私が到着してからも1人、2人と宿泊者が増えてきました。
彼らと小屋番Eさんのやりとりも楽しく、この小屋には山のツワモノ達が集まるんだと納得。
その中で椹島から標高差2000mを一日で登ってきた人がなんと6名も \(◎o◎)/!
へぇぇぇ〜びっくりです!。いずれも男性でしたが、30代〜60代位の年代はさまざまでした。Eさんは彼らの写真を撮っていましたが、
後で、その写真でちょっとしたサプライズがありました。(あっこれは宣伝してくれるなと言われてました)

さて、夕暮れになると、頂上付近にかかっていた霧がとれて、まわりの山々が見渡せるようになりました。
ひと仕事終えたEさん達と3120mのベンチでカンパ〜イ \(^o^)/ しばらくは皆さんと談笑していましたが寒くなってきたので、
談話室に入って消灯時間の夜8時まで楽しいひとときを過ごしました。
3日目 8月9日

赤石避難小屋ー7:00赤石岳ー北沢源頭ー8:40富士見平ー9:20赤石小屋ー12:00椹島
5:00 朝焼けに染まる富士山
朝は4時に電気が付きました。ここに泊まる登山者は朝が早い!。
ご来光の時間にはすでに出発できる支度で赤石岳山頂に向かっていきました。
水平線にはあいにく雲がかかっていて、きれいなご来光は見れませんでしたが、
朝焼けの景色は360度、すっきりと見ることができました。

この時間、富士山山頂では多くの登山者が日本で一番高い所からのご来光を待っていることでしょう。
標高こそ負けますが、ここからは360度の大展望が見られるんだから すばらしいでしょ\(^o^)/。

どこを見渡しても山また山・・・近くの山並みの景観は南アルプスならではの、どっしりとした重厚なもの。
3000mの山々の連なりの・・・その真っ只中に自分が居る。 朝の澄みきった空気の中で、この景色に浸りました。
5:10 赤石岳にて・・早朝の稜線  昨日歩いた稜線の山々を眺める 赤石岳避難小屋のEさん
さて、小屋に戻って遅めの朝食。残った登山者は数人になってしまいました。
出発前にお掃除を手伝い、Eさんに別れを告げる頃、赤石岳山頂には、
赤石小屋から〜?荒川小屋から〜?百聞洞から〜? 
どこから登ってきたのでしょう!すでに登山者の姿がありました。
北沢源頭までの急斜面を下る。  周辺のお花畑は健在でした。
赤石岳に再び立って、赤石のコルまで下りる間にも、赤石岳に向かう登山者と多くすれ違いました。
コルで大展望の稜線に別れを告げ、北沢の源頭に向けて急な斜面を降りていきました。
正面に富士山を眺めながら下れるなんて!贅沢な景色・・・この辺りのお花畑も健在でした。
シナノキンバイ・ハクサンイチゲ・ハクサンチドリ・ウサギギク・ハクサンフウロ・クロユリ・トリカブト・・などなど。
小赤石尾根の南側を通る、明るいダケカンバのトラバ−ス道 9:20 赤石小屋
源頭まで降りると小赤石尾根の南側を通るトラバ−ス道になります。
鉄の橋やハシゴ、急な所にはロ−プが渡されていますが、アップダウンは大きくなく、ダケカンバの明るい林になってきました。
展望のいい富士見平で大休止。目の前には昨日歩いた千枚岳〜悪沢岳〜荒川岳が見えているのですが、
その山頂には早くも雲がかかってしまいました。赤石岳も見えません。

ここから少し下ると赤石小屋がありました。
ここまでで、2時間20分。 あとは展望の無い樹林の中を、なんと標高差1400mをいっきに下るのみです。
赤石小屋からシラビソの林を下る 赤石小屋から30分ほど下った所にはカニコウモリの群落があった。
10時40分 やっと標識がありました。

赤石小屋まで120分。
椹島ロッジまで90分。

標高2000mあたりまで降りたのかしら?

その後も変化の乏しい樹林帯を
ひたすら下りました。

シャクジョウソウ(錫杖草) 12:00 椹島
12時に椹島まで下りてきました。標高差2000mを5時間かかって下山。
「疲れたよぉ〜 ($・・)/~~~」
入山日はまる一日かけてやっと山小屋・・・。下山は標高差2000m・・・。 南アルプスの奥深さとキツさに脱帽です!。

さて、畑薙ダムまで戻ると、ダム手前の大きな駐車場にはたくさんの車と、バスから降りる多くの登山者の姿がありました。
新しくなった赤石温泉で山の疲れを癒し、井川方面に車を走らせると、本州の県外ナンバ−の車と多数すれ違いました。
井川の集落でこの時期の特産のトウモロコシを買って、自宅へと戻ったのでした。

夕方6時過ぎには荷物の後片付けも終わり、トウモロコシを食べながらビ−ルで晩酌タイム・・・。
南アルプスは近いんだけど、キツくて手強い山なんですよね。
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