『南アルプス荒川岳防鹿柵冬期養生作業』に、高山植物保護指導員の一員として参加しました。 9月の塩見岳での高山植物植生保護活動に引き続いて、今回の活動場所は荒川岳です。 集合場所が畑薙ダム手前駐車場に朝の6時だったので、集合場所に近い白樺荘で前泊することにしました。 自宅から車で接阻峡を経由して井川に入り、2時間10分。 |
10月3日(木) 白樺荘に前泊 |
16:00 前泊で 白樺荘に入りました |
塩見岳の時の大鹿村よりは断然近いです。前回は道の駅に車中泊でしたが、今回は奮発して白樺荘。 静岡市営のこの温泉は、リニュ-アルして泊まれるようになりました。ぬるっとした温泉は大好き。 洗面・トイレも付いた4人部屋をシングルユ-スして一泊4110円。鹿刺しも付いた夕食は1850円と格安でした。 |
10月4日(金) 椹島~千枚小屋(泊) |
ウイスキ-工場を建設中 5台に乗り込みました |
昨夜から降っていた雨は、集合場所で東海フォレストの送迎バスに乗っても降っていました。 約1時間で椹島に到着。ここでミ-ティングと自己紹介の後、 南アルプスの標高をナンバ-プレ-トにした4輪駆動車に乗り込み、山道を走ります。 |
9:00 赤石岳展望台 |
途中の赤石岳が見える場所で小休止。 時折小雨が降って風が強く、一瞬でしたが大きな虹がかかりました。 |
10:00 千枚小屋手前の防鹿柵で作業 |
車を降り、千枚小屋を目指します。この時は雨も上がり、天気は回復傾向にあったのですが・・・ 登山道脇のお花畑は小さいけれど防鹿柵が張ってあり、今回の作業のレクチャ-を受けました。 参加者の大半はベテラン組で、私は今回の作業は初めてでした。 立ち上がっているネットを、降雪に備えてポールとネットを降ろす作業です。 |
10:10 千枚小屋 |
久しぶりの 千枚小屋です。 前回は4年前のシルバ-ウィ-クでした。 その時は聖岳から縦走して、3泊目で ここの素泊まり部屋に泊まりました。 |
千枚小屋で小休止。計画では荒川岳のお花畑で作業を行い荒川小屋泊でしたが、 天気の回復が遅れていてたので、先発隊が千枚岳まで偵察に行ってくれることになりました。 待っている間に椹島で受け取った豪華なお弁当を美味しくいただきました。 そんな時に雨がまた降りだして、偵察隊も戻ってきました。 稜線は強風と雨で、歩行は困難と判断し、今日は千枚小屋泊りとなりました。 |
千枚小屋から夕暮れの富士山・・・やっと天気が回復しそうです。 |
新しくなった千枚小屋に泊まるのはもちろん初めてで、女性陣は急な梯子を登った2階に落ち着きました。 ザックを置いた後は食堂に戻り、有り余る時間をビ-ルと共に過ごしました。 |
17:30 千枚小屋の夕食です。 |
野菜もフル-ツもあり、きのこのクリ-ムシチュ-は絶品でした。千枚小屋の食事は評判のようです。 私はほとんどテント泊なので、粗食と、狭くて不自由なテント生活が常。 ボランティア活動で、3食の食事と部屋が与えられるなんて、夢みたい(^。^)y-.。o○ |
10月5日(土) 千枚小屋ー千枚岳ー悪沢岳ー荒川中岳ー
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5:20 千枚小屋からの富士山 |
快適な山小屋で朝4時に起床。4時30分に朝食を食べて、出発の準備が整いました。 |
5:30 千枚小屋出発 |
前日は停滞したおかげで、今日はすっきりと晴れました。日の出前に出発です。 |
千枚岳までの道のりは、美しい樹林帯。何度歩いても好きだなぁ~ ナナカマドは朝日が当たり、ますます赤くなり、ダケカンバは黄金色に輝き出しました。 |
ご来光を迎えた時間です。このダケカンバの木も、健在でした。 |
森林限界を越えると、赤石岳が迎えてくれます。朝日が上がったばかりの色彩は一瞬のこと。 |
赤石岳を見ながら、千枚岳に登ります |
6:25 千枚岳 千枚岳から見た塩見岳です。3週間前は塩見岳から荒川方面を眺めたっけな。 |
千枚岳を後に、お花畑の広がる斜面をトラバ-スしガレ場を通過して、次のピ-ク・丸山に向かいます。 |
稜線は草紅葉。 その向こうに赤石岳 |
丸山からもなだらかな稜線歩きを満喫して、岩場を過ぎると悪沢岳です。 7:50 悪沢岳 |
悪沢岳は360度の大展望が広がっています。 こちらは塩見岳方面 |
8:35 ウラシマツツジは紅葉しています。贅沢な景観です。 |
9:00 中岳避難小屋 |
中岳避難小屋は小屋締めで、今年度の営業は終了し、これからは無人の冬季小屋となります。 早いですが、ここで千枚小屋で受け取ったおにぎりをいただきました。 ラップに包まれたおにぎりは全部味が違って、小屋人の愛情もいっぱいでした(^。^)y-.。o○ |
9:50 登山道を離れ、お花畑が広がる荒川カ-ルの底に下りてきました。 |
最初の作業はカ-ル下に広がる2ヶ所の防鹿柵。 7月初旬に立ち上げた防鹿柵を、冬季の積雪期に備えて、防鹿ネットを下すというものでした。 |
足場の悪いカ-ル下まで降りていって、地下足袋に履き替えて作業開始。 ネット上部に目印のビニ-ルテ-プを付けてポ-ルからネットを外し、ポ-ルも外します。 それぞれヒモで縛って来年に備えて足元に残置します。 |
カ-ル下は黄色い部分2ヶ所で作業。足場も悪く急な斜面でした。 荒川岳西カ-ルや前岳周辺は、近年ニホンジカの採食圧による植生の衰退、裸地化が進んでいます。 南アルプス屈指のお花畑が広がるこの場所で、お花畑の保護を図るために平成23年度より防鹿柵を設置しています。 |
11:50 カ-ル下の作業が終わり、次は登山道脇の防鹿柵の作業に移ります |
カ-ル下の作業が終わって、ガレ場を登り返し、デポした荷物を持って、登山道ではない道をトラバ-スして 次の作業場所に移動しました。 登山道から上部と下部に広がる広大な斜面です。 |
登山道脇に荷物を置いて、上部まで登り、そこから左右に分かれて作業しながら下に降りていきます。 今回は環境省・特殊東海フォレスト・南アルプス高山植物保護ボランティアネットワ-クという構成 。 環境省からは、塩見岳と同様のお二人が参加。特殊東海フォレストからは5名。 高山植物保護ボランティアネットワ-ク17名?という構成。 ボランティアネットワ-クのメンバ-には、石川県・山梨県・福島県など遠方からの参加者もありました。 |
今夜お世話になる荒川小屋と、赤石岳 |
ベテランのボランティアさんが多く、作業もテキパキと終えることができました。 朝早くから山を歩いて、お花畑2ヶ所で作業が終えたのが12時30分頃でした。 なんだかもう一日が終わってしまった感じだったのに、お昼過ぎの時間だなんてビックリでした。 |
ほぼ下り勾配の道を歩き荒川小屋に向かいます。まだマツムシソウも咲いていました。 |
13:15 荒川小屋 13:30~小屋外のベンチで慰労会タイム♪ 17:40 荒川小屋の夕食♪ |
午後1時過ぎに荒川小屋に到着しました~♪。 余力のある健脚組は赤石岳まで往復できる時間なので 5~6人が赤石岳を目指しました。 私はもちろん宴会組。 外のテ-ブルセットに飲んべぇが集合し、 ビ-ルや、持ち上げたアルコ-ル類や大量のおつまみで、大いに盛り上がりました。 |
10月5日(土) 荒川小屋ー荒川西岳ー荒川中岳ー悪沢岳ー千枚岳ー千枚小屋ー椹島 |
5:00 朝食も美味しい 6:00 荒川小屋出発 |
千枚小屋も荒川小屋も県営で、東海フォレストが管理運営している山小屋です。 このエリアを何度か歩いていますが、山小屋での食事は今回が初めて。 どちらも食事は美味しくて、おまけに昼食用のお弁当も今回が初めて、 3箇所のお弁当を食べ比べることができたことも、大きな喜びでした(^。^)y-.。o○ |
いつも大きく見えていた赤石岳には、またいつか登りたいな・・・。 昨日より紅葉が進んだみたい。 |
7:25 荒川前岳 山頂からガレ場を覗く。崩落は今も続いているようです |
三日目は下山ですが、まずは登りから始まります。登山道から少し離れている荒川前岳にも寄り道できました。 前岳は崩落が進んでいて、この立派な標識は以前あった場所から中に移動したようです。 |
分岐に戻って 7:40 荒川中岳。 ここは通過点。 |
7:50 荒川避難小屋から見た塩見岳方面 |
荒川避難小屋から、ゆるやかに下っていきます。左側に塩見岳を見るのはいいのですが・・・ |
前方の悪沢岳を見ると、かなりテンション下がります。これから鞍部までグングン下って・・・ |
8:06 急な登りが待っていると思うと気が重~い(ToT)/~~~ 8:56 悪沢岳 |
鞍部から急登に転じ、足元を見ながら一歩一歩・・・。45分後 悪沢岳に到着。 荒川前岳・荒川中岳・荒川東岳(悪沢岳)で荒川三山です。 荒川東岳とは、伊那側から見た名前なので、静岡県人は荒川東岳とは言わずに(悪沢岳)といいます。 |
大きな石がゴロゴロした岩場を歩き、日本庭園のような景観のエリアを通り抜け、ゆるゆると登ること30分 |
9:25 丸山 に到着しました。 丸山からは最後のピ-ク千枚岳に向けて緩やかに下ります。 前方の斜面が秋色に色づいています。 |
最後のピ-ク千枚岳に向かいます。昨日より紅葉が進んだ感じがします。 |
10:00 トラバ-スや鎖場も通過して・・・ 10:15 千枚岳に到着。 次は千枚小屋へ~ 丸山や悪沢も遠くなりました。 |
千枚岳の下からは樹林帯。ダケカンバの黄葉がいい感じ |
10:50 千枚小屋 荒川小屋のお弁当 |
千枚小屋に着いて、ここで約45分のお弁当タイム♪ 午後1時前にに椹島に戻ってきました。 ここで下山後のミ-ティングを行い午後2時発の送迎バスを待ちました。 午後3時、畑薙夏期臨時駐車場に着きました。 もちろん下山後にも白樺荘の温泉に入り、充実の3(4)日間を終えました。 |
2泊3日で『南アルプス国立公園荒川岳防鹿柵冬期養生作業』に参加して、 ボランティア活動の場が山岳という特殊な環境で、 活動時間よりも、そこへ向かう労力や移動時間が長く、2泊3日を要することになります。 前回の塩見岳の防鹿柵や養生作業とは、また違った手法の防鹿柵作業で、 参加しなければ判らないことが、いっぱい体験できたことは貴重でした。 自分の登山シ-ンではほとんど縁がない山小屋泊りや、山小屋での食事・お弁当はとても有り難く、 そして美味しくて、主催者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。 |